相田君はみんなが席に着いたところで真剣な面持ちで話し始めた。

 「今日は、この休み時間を利用して、みんなで真田君のことを話し合おうと思います。」

 ・・・・・・・・!!!

 「ちょ、ちょっとまっ・・・。」
 「ふ、ふざけんな!!」

 私が言いかけたところで、藤村君が大声を張り上げて立ち上がった。
 「お前ら、また勇治を苦しめるつもりか!そんな事、絶対に許さねぇって前にも言っただろうが!!」
 「進二・・・、違うんだ・・・。」

 根岸君が悲しげな表情で立ち上がった。藤村君は興奮冷めやらぬ状態で根岸君を見た。
 「違う・・・って、どういう事だよ・・・。」
 「俺たち・・・、お前に言われた後・・・、考えたんだ・・・。真田はやっぱり、むやみに人に暴力を振るう人間じゃないって、そう思ったから・・・。だって真田は誰に対しても笑顔で明るく接してくれた・・・。勉強だって、嫌な顔1つしないで楽しそうに教えてくれる奴だったから!だから・・・、だから聞きたいんだよ!真田が何に苦しんでるのかを・・・・。進二なら知ってるんだろ!?教えてくれよ!俺たちだって・・・、真田のために何かしてやりたいんだ!」
 クラスのみんなが藤村君を見ていた・・・。

 ・・・・みんな・・・・・。

 私も、驚きの隠せない様子の藤村君を見た。
 「お、お前ら・・・・。」

 「藤村、教えてくれないか?真田に何があったのか・・・・。じゃないと俺たちも、もう納得できないと思うんだ・・・・。」
 相田君がみんなの声を代弁するかのように藤村君に語りかけた。

 「・・・・・・・・。」
 藤村君は複雑な表情で、立ったまま考え込んでいた。

 ・・・・・・・・・。

 しばらくして、藤村君は決心したような顔で相田君を見た。
 「わかった・・・・。話すよ・・・。」

 ・・・・・・・・・。