・・・・勇治君・・・・・。

 さっきの光景が再び頭の中を通り過ぎた・・・。
 それと同時にますます涙があふれ出てきた・・・。

 「邪魔・・・しないでよぉ・・・・・。」
 意地悪な涙は、私がそう言う度にますます勢いを増した・・・。

 「・・・・・ぅうっ・・・・ぐすっ・・・・どうしたら・・・いいのよぉ・・・・。」
 ペンを置いて涙を両手で受け止めた・・・。

 「私は・・・どうすれば・・・ぐすっ・・・うぅっ・・・・、どうすればいいのよぉぉぉ・・・・。」

 部屋の扉がゆっくりと開いた・・・。
 誰かが静かに私の部屋に入ってきて、私の肩にそっと手を添えた・・・。

 「詩織~。」
 「・・・うぅっ・・・ぐすっ・・・・うっ・・・。」

 泣いている私の横におばさんは、ひざをついて座り、頭をそっとなでてくれた・・・。
 おばさんの優しい瞳を見た時、私は感情が抑えられなくなった。

 「おば・・・・さぁ・・ん・・・・。おばさぁぁぁぁん・・・・、ぅぁぁぁぁぁぁぁぁん・・・・。うぁぁぁぁぁぁぁぁん・・・・。」
 私はおばさんにしがみついて号泣していた・・・。

 おばさんは黙って優しく頭をなでたまま、じっとしていてくれた・・・。

 かすかに鰹節の香りのするおばさんの紺色のエプロンは、あっという間に私の涙の色に染まっていった・・・。