目の前の光景に思わず足を止めてしまった・・・。

 ・・・・・・・。

 勇治君・・・・と新田さん・・・・。

 心臓の鼓動が早まるのが分かった・・・。
 胸が苦しくなって、思わず手を胸に当てた・・・。

 勇治君と新田さんの影は・・・・。
 ・・・重なっていた・・・・。

 呆然と立ち尽くす自分にはっとして、咄嗟に身を隠すようにしゃがみこんだ。

 ・・・・・・・・・・。

 心臓の鼓動はますます早まっていった・・・。
 胸もどんどん締め付けられていった・・・。

 ・・・・・・・・・・。

 苦しさに耐え切れなくなって立ち上がった。

 いつもは使わない墓地裏の坂道を思い切り駆け上って、家に飛び込んだ。

 「詩織~、おかえり~。」
 台所から聞こえてきたおばさんの声に返事もしないで、家の階段を駆け上がり、部屋の扉をバタンッと閉めた。

 「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・・・。」

 扉にもたれかかってしゃがみこんだ・・・。

 ・・・・・・・・・・。
 ・・・・胸が・・・・苦しい・・・・。

 かばんを胸の前で強く抱きしめたまま、動けなかった・・・。
 制服を着替えるのも少し休むのも忘れて、しゃがみこんだまま放心状態だった・・・。

 夕飯の時、おばさんが心配そうに私を見ていた。
 「詩織・・?学校でなんかあった・・?」
 「・・・・・・・。」
 「ん・・?詩織、顔色悪いぞ・・?大丈夫か・・・?」
 おじさんも心配げに私の顔を覗き込んだ。
 「大丈夫・・・。ごちそうさま・・・。勉強しなきゃいけないから・・・行くね・・・・。」
 それだけ言い残して2階に上がった。