駐輪場に来た。俺の自転車近くに誰かがいた・・・。

 「あ、明美・・・?」
 「あ・・・、勇治君・・・。」
 「どうした?こんなところで。」
 「う、うん・・・。」
 明美はうつむいた。

 俺はかばんを自転車のかごに入れてサドルにまたがった。
 「あ・・、あの!」
 「ん?」
 「一緒に・・・帰らない・・・?」
 「え?いいよ。」
 「本当!?」
 明美は少し驚いた顔をした後、嬉しそうに笑った。

 「ちょっと待っててね!すぐ来るから!」
 明美は自分の自転車のところに走っていった。

 ・・・・・・?
 どうしたんだろう・・・?

 俺と明美は自転車に乗って並んで走っていた。

 「もしかして、俺に何か用があったとか・・・?」
 「う、うん・・・。」
 「そうなのか?それなら教室来てくれたらよかったのに。」
 「それは・・、そうなんだけどね・・・。」

 「それで、どんな用?」
 「・・うん・・・・。」

 ・・・・・・??

 しばし沈黙が流れた・・・。

 明美は遥の親友だった。遥が死んだとき一番泣いていたのは彼女だった。
 俺と明美は遥と知り合う前からの友人だった。陸上部も同じだったし、中1、中2と同じクラスだった。

 「勇治君・・・。」
 「ん?」
 「遥の所・・・行かない・・・?」
 「遥?いいけど、どうした?」
 「うん・・・。」

 そう言って明美は黙ってしまった。

 なんか今日は明美の様子が少し変だな・・・・。

 俺たちは遥に会いに柏木町の墓地に向かった。