次の日、クラスはいつも通りの明るさを取り戻していた。
 真田君は風邪を引いたらしく、学校を休んでいた。

 あんなに雨にぬれたら、そりゃ風邪も引くよね・・・・。
 私は、まだ少し元気のない井上先生を眺めながらぼんやりしていた。

 せめて、真田君が休んでいる間のノートだけでもとっておいてあげよう・・・。
 今の私にできることって、それくらいしかないもんね・・・・。

 そうは言ったものの、ハイテンポで進む青葉北の授業で、2人分のノートを作るのは予想以上に大変だった。
 授業内では書ききれないから、自分の分は家で書くことにした。
 授業はますます難しい内容に入っていった。
 部活動があって、予習が不十分なまま授業に臨んでしまっていたから、尚更そう感じるのかもしれなかった。
 でもまあ、2回勉強できると思えばお得だよね!1回じゃ分かんないとこも多いし!

 何事もプラス思考!その決心だけは絶対に変えない!

 部活動が終わった後、水野君が私のところにやってきた。
 「朝倉。」
 「ん?どうしたの?水野君。」
 「ちょっといいか?」
 「・・・・・・?」
 私たちは体育館裏に移動した。

 2人だけになったところで、水野君は私をまっすぐに見た。
 すごくいい目・・・。竹刀を持って対峙すると、もっとよく分かるこの覇気・・・。
 この目が彼の剣道の全てを表しているといっても過言じゃない・・・。
 私がその目に圧倒されかけていると、彼はその目のまま口を開いた。

 「朝倉、俺はお前のことが好きだ。」

 ・・・・・・・・!!!