藤村君の頼もしい後姿を眺めて席についた。

 「藤村君って面白い人だね~。」
 「ったく・・・。ちょっかい出すのだけは得意だからな・・・、あいつ・・・。」
 困った顔の真田君がちょっとかわいかった。
 「いいじゃない!それだけ真田君のことが大切ってことだよ。」
 「ははは・・・。どうなんだか・・・。」

 そう言って真田君は、窓の外を悲しげな瞳で眺めた。

 あぁ~ぁ・・・・、またその顔・・・・・。
 ・・・・・みんなあなたに笑顔になって欲しいんだよ・・・・。
 藤村君も、新田さんも・・・・、そして私も・・・・。
 真田君が私の後ろにいるうちに何とかしなきゃね・・・・!
 決意を固めながら、外を見る真田君を見つめていた。

 5時間目の授業が終わった。
 外は朝とは打って変わって今にも雨が降り出しそうな天気になっていた。
 今日は午後から雨が降るからと、おばさんが傘を持たせてくれたことに感謝した。
 教室に井上先生が入ってきた。

 毎週月曜日の6時間目には授業がない。
 ん~、ちょっと違うかな。正確には自由授業という授業がある。
 だけど、これは授業というより補習とかホームルームの延長みたいな感じで、担任の先生の裁量に全面的に委ねられている。
 月曜日は部活動も休みになっていて、自由授業の延長や短縮も先生の自由だった。
 井上先生は普段は英語の補習をするんだけど、今日は教室に入ってくる様子がいつもと少し違う気がした。

 先生は教壇に立つと、黒板に「死刑」と大きな文字で書いた。

 仰々しいその言葉を見て、クラスは静まり返った。