教室はざわざわし始めた。番号を書かれた人が、喜んだりがっかりしたりしていた。

 10,11,12・・・。
 さて~、私はどこかな~。
 ワクワクしながら先生の動きを目で追った。

 16,17,きたっ!18!!
 えぇ~~~~~っ!!

 なんと、私の席は今のところから左に1つずれただけ。窓際の1番前の席だった。
 また1番前かぁ~・・・・。
 ちぇ~っ、もっと大きく移動したかったなぁ~。
 しぶしぶ左隣の席に移動した後、学級日誌を取りに職員室へ向かった。

 教室へ戻ってきた後も、教室内はまだ興奮冷めやらぬ様子だった。

 日誌を教壇の机に入れて自分の席に行くと、私の後ろの席に真田君がいた。
 「あ、真田君。」
 「あぁ、おはよう。」
 私が自分の席に座ると、真田君は不思議そうな顔で私を見た。
 「えっ・・・?」
 「左に1つずれただけだったの。」
 「あぁ・・・、そう・・なんだ・・・・。」
 「よろしくね。」
 「あ・・・、うん・・・よろしく・・・。」

 微笑みかけても、淡白な返事しか返ってこなかった・・・。
 でも、ここにいたら色々話ができるかもしれない。
 そしたら前みたいに笑ってくれる日がくるかも!
 初めは嫌だったこの席も、案外悪くないと思った。