「あ、そういえば朝倉さん、ゼッケンの代金持ってきた~?」
 「あ~、はい。えっと、確かここに・・・。」
 かばんの中を探してみたけど見当たらなかった。
 「あっ、そうだ。ロッカーに入れちゃったんだ。ちょっと取ってきます!」
 私は教室に向かって走っていった。

 気持ちが弾んでいた。
 また優希と一緒に剣道ができるんだ!
 自然と足取りも軽くなった。
 私の高校生活、面白くなってきたかも!

 教室に入ろうとすると、誰かが1人、教室に残って勉強していた・・・。
 ・・・真田君だった・・・。

 「あ。」
 私は思わず声を出してしまった・・・。
 真田君は、私の声を聞いて振り返った。
 「あ。」
 彼も同じ言葉を発した。

 「予習・・・してるの・・・?」
 「ま、まあね・・・。」
 「そっか・・・、偉いね・・・・。」
 「・・・・・。」

 やはり彼の瞳は、昨日見たものと同じだった。彼は勉強机に顔を戻した。
 私は自分のロッカーに行って、ゼッケン代の入っている封筒を探した。

 封筒はロッカーの端っこに挟まっていた。
 私は封筒を手に取り、教室を出ようとした。