2―D組
ここか…
てか…汚っ!?
「汚いっすねっお嬢…」
「お嬢言うなっここは学校だぞ?あたしは平凡に過ごさないといけねーんだから」
「すいやせんっ」
それにしても…
「行きにくいな…」
「そうっすね…」
教室からは
外に丸聞こえの声がギンギン響いている
ここは動物園かっ
後先が不安だ…
「あっお嬢!!」
「だからお嬢言うなっ」
「すいやせんっ…あの、親方からこれを…」
誠也の手には眼鏡があった
「……これを?」
だいたいは予想出来るけど…
「あまり、世間に堂々と顔を見せるなとのことです」
やっぱりな…
おじいちゃんが言いそうな言葉だよ…
「ゎーたよ…」
あたしは仕方なく眼鏡をかけた
「そろそろ入るか…」
「はっ」
ガラガラ…
しーーん…
へ!?
さっきまで騒がしかった教室が
一気に静まった
入りづらいな…
「お嬢、俺が先に入りますんで」
誠也が小声で言った
「頼れるな」
感心感心
誠也は先に教室へ入りみんなにあたしを紹介してくれた
さすが教員免許を持ってる奴だな♪
でも最後にみんな仲良くはさすがにだめだろっ
小学生かってっ
「んじゃおじょ…っか…華憐ち…ちゃん。そこの眼鏡をかけている男子の隣の席にすわって!!」
誠也はなれないあたしの名前を
ぎこちなく呼び上げた
眼鏡をかけてる男子…
あっあいつだ…
そこにいたのは
どよーんとしたオーラを漂わせている
少しオタクそうな男子
まぢかよ……
ま、あたしも眼鏡はかけてるけどもさっ
眼鏡同士じゃ
絶対ここの連中ら
あたしを馬鹿にするぞっ
眼鏡がソロっていいかんじぃーってな(笑)
まぁそこまで子供じみた事は言わねーか(笑)
まぢかよ………
ここの連中がここまで馬鹿だったとは…
ほんの数分前…
あたしの自己紹介も終わり
誠也も職員会議に行った直後におきた出来事。
あたしは自分の席に座っていた
するとまさかの展開…
クラスのあげあげ集団らしき集団が
あたしの席を見ながら何やらコソコソしていた
そしてその集団はあたしの席に近づいて来て…
「眼鏡同士お似合いじゃんっ」
「この際付き合っちゃえば?笑」
「眼鏡がソロっていいかんじぃーっ」
と、急にあたしにちょっかいを出してきた
てか…
言っちゃったよっ笑
どんだけ幼稚なんだここの連中はっ
「何とか言いなさいよっ」
あたしが一人でウケていた途中で
怖い声が聞こえた
というか…
どうしたいわけ?
あたし、この男の隣に
なりたくてなったわけじゃないし…
そんな思いをもっていても
言葉に表せないあたし。
はぁ…
普通だったら
何か反発くらいはしたいんだけど…
それを言う勇気が出ない
どんだけ弱虫なんだよ…あたしは…
本当に一条組を継げるのか…!?
「ねえっ聞いてるの!?」
いや…
一応、聞いてます。
「うんかすんか言ったらどう?」
すん。笑
言いたくなりますよね?
すん。
クラス中はみんなあたし達を見ていた
ていうか
転入初日からこんな絡まれて
このままやっていけるのか!?
ずっと喋らずにいたあたしに
女子がキレたようで…
「あんたっ喋れないわけ!?ブッサイクな顔しやがって!!」
カチン…。
そのお言葉には
さすがの華憐ちゃんもカチンときましたよ。
ギロッ
「!!??」
あたしはあたしを取り囲む女子を
鋭い目で睨みつけていた
取り囲む女子…
いや…
クラス中の人々が
一歩引いたような顔をしている
隣の眼鏡くんすら驚きを隠せていない
あたしの目つきって…
そんなに悪い…?
「な…なによっ」
取り囲む女子は少しずつあたしの席から離れている
以外と弱いのね…笑
「覚えてなさいねっ!!」
その言葉を残し
取り囲む女子達はそれぞれの席に戻った
覚えてって言われなくても
同じクラスだから
嫌でも覚えるわっ
とりあえず女子は追い払うことが出来た
一人で静かにため息なんかついていた時
「だ…大丈夫だった?」
え…?
誰?
誰かあたしに話しかけた?
もしかして…
「俺…【佐野智 さのさとし】よ…よろしくね」
やっぱりっっ
隣の眼鏡くん。
見た目通りだな…
地味でよれよれしてそうな人
「す…凄いね。何も話していないのにあいつら追っ払うことが出来て。」
「ああ…」
「お…俺にも、そんなこと出来たらな…」
「ああ…」
意外と喋るんだ…
あたしのほうが喋ってない気が…
「お…俺と…友達になってくれない?」
「……え?」
さすがのあたしも驚きを隠せずにいた
だって…
他人から友達になろうなんて
言われたことなかったから…
「だ…ダメかな…」
「……別に…」
結構イイ奴そうだし
「ほっ本当!?」
「ビクッ」
彼は嬉しいあまりにあたしの顔の近くまで来ていた
「ありがとう」
「あ……」
よく見ると可愛い顔立ちをしている彼…
さっきまでとは何かが違う気がした