う-……。

見透かされてる。

からかわれてる。

そんな感じだった。



「そ……そだ」


あたしはパッと手を引っ込めた。

なんとかして話題を変えなきゃ。

そう思ったあたしは立ち上がって、少し離れたところに置きっぱなしにしてあった紙袋を取りに行った。


「デザートもあるんだよ」


そう言って袋を探る。

だけど……


「あ……あれ?」


やだっ。

どうしよ……。


「どうしたの?」


「……忘れちゃったみたい」


そう。

紙袋の中には何も入っていなかった。


「りんごも持ってきたつもりだったのにぃ……」


あたしはハッとした。

そういえば、別容器にいれたりんごをテーブルに置きっぱなしだったような気がする。


もぉ……。

あたしって、やっぱ時々抜けてるよね……。


「ショック……。せっかく“りんごうさぎ”にしたんだよぉ?」


――ギィ……


背後で椅子を引く音が聞こえて、卓巳君が立ち上がったのがわかった。


何がおかしいのか、クスクス笑いながら近づいてきたかと思ったら、あたしの体は後ろからすっぽりと彼に覆われていた。


耳元に彼の吐息を感じる。




――卓巳君は優しく囁く。





「デザートならあるじゃん?」




「え?」