なんていうか…見栄えが悪い。

お弁当の彩りの基本は、“赤・黄・緑”。

この三色だ。

この三つの色が揃っていれば、華やかに見える。

例えば赤はプチトマト、緑はブロッコリー、黄色は卵焼き……みたいな感じで。


ちゃんとそれ用に作っていれば、あたしだって見栄え良く作れるんだけどなぁ。

今日は何も考えずに夕食のおかずをそのまま詰めてきただけだもの。

今日の色の取り合わせはイマイチ地味だ。

せめて卵焼きぐらい焼いてくればよかったよぉおおおお。


卓巳君は相変わらず容器の中を見て無言で固まってる。

ひょっとして……煮物なんて嫌いだったのかもしれない。


その時、ふいに敦の言葉が頭をよぎる。

――『男はこういう料理は喜ばねーの!』


だよねぇ……。

なんでこんなもの持ってきてしまったんだろう。

どうせなら、ハンバーグとか唐揚げとか……男の人が喜びそうな献立の時にすれば良かったんだよね。

あたしのバカッ。

ああ……どうしよう。



「あのっ。ごめんね……なんか不味そうだよね。もっと気の利いたもの作ってくれば良かったよね……」


もう泣きそうになってきた。

早く容器を返してもらって、もう帰ろう。

そう思って、手を伸ばそうとした時……。