あたしは慌ててお腹を押さえる。


卓巳君は一瞬目を丸くして、それからまたクスクス笑い出した。


「腹減ってんの?」


「えっ……ううん」


とりあえず首を横に振ってみるものの。

あれだけ豪快にお腹が鳴ったわけだし、誤魔化せるはずもなかった。

というか、よく考えたら晩御飯食べずに出てきたから、もうお腹ペコペコだった。


「なんか食う? 食料ならいくらでもあるよ?」


楽しそうにそう言って、机の一番下の大きな引き出しを開ける卓巳君。

中にはカップ麺がたくさん入っていた。


そっか……。

きっと学校に泊り込む時はこういうのが晩御飯になってるんだな。


「どれがい―い?」


卓巳君はいくつか取り出して、あたしに見せる。



「あ……あのね。卓巳君、これっ……」


あたしはおずおずと、紙袋の中からプラスチック容器を取り出した。


「差し入れです。良かったら食べて?」


「えっ……」


卓巳君は目を丸くして驚いている。

そしてあたしから容器を受け取ると、そっと蓋を開けた。


その瞬間、あたしの中にまた後悔が生まれた……。