「なーるせっ!! ……またフラれちゃった?」


頭上から降ってきた聞き慣れた声。

女の子にしてはちょっと低めのハスキーボイス。


「……、うん。」




こんな時に声をかけてくれるのは、この子――内海だけだ。


視界に映った、黒いローファーが近づいて来る。


「……理由はおなじみの?」


「そう。……男らしさが無い、だって」



自分で言ってて泣けそうだ。


あ、ちょっと鼻の奥がツンとする。ヤバい。



……僕は、今まで告白した女の子全員に、「男らしさ」の事でフラれている。


その度に、内海がどこからともなくやって来て慰めて行くんだ。



しゃがみ込んで頭を埋める僕の髪に、優しく手が添えられる。