「―――っあ、」


叩かれたのは、僕じゃなかった。


「……ぃッて――。見た目より力強いんだね」




唇の端からつぅ――と血を流し、内海は嗤う。

僕が殴られる瞬間に、間に踊り出た内海の頬へ彼女の平手がヒットしたのだ。


「――内海、さん…っ! 何であなたが…!?」



「何でって…、聞いてたから?」



おーいて、なんて言いながら内海は唇の端を拭う。

内海を殴った手を片手で押さえながら、彼女は顔を青ざめさせる。