その時。



――バタバタバタ…… 遠くから聞こえる誰かの足音。


今は、始業のチャイムはとっくに鳴り、先生を待つばかりの時間で、こんな時に廊下を走ったりすれば、とても響く。


きっと、誰かが遅刻しかけているんだろう、なんて考えていると。



ガラガラッ!


けたたましい音をたてて、教室の扉が開く。


扉を開けたのは、制服はよれて髪も整っていない、うっすらと汗をかいた内海だった。


内海が遅刻なんて珍しい。


その事から、内海の友人の女子達が彼女に声をかけている。


「遼? どうしたの、遅刻なんて珍しい。」


「あ、ははは…なんか、ぼーっとしてたら時間過ぎてさ…」