他にも何か言いたげな内海を置いて、僕は校庭で僕を待つヒロシの所へと急ぐ。


走りながらも内海の居る水呑場へ目を向ければ、僕を見つめる彼女の瞳と、視線が交わった。


「――――、」


遠くからでも分かる、真っ黒な瞳が何かを訴えかけるようにこちらを見てる。

一瞬の事だったのに、何故か怖くなって目を逸らした。



「……夏軌?」


青い顔で固まる僕を見て不思議に思ったのか、ヒロシが駆け寄って来る。


「………、」



「何かあったのか?」


ヒロシも友達も、黙り込む僕を見て不思議そうにする。