絞り出すような、その声に。



「………うち、うみ」



思わず零れた小さな声。

嬉しいとも悲しいともとれる声色は、内海の耳に入る前に空気に溶ける。


――その、まま。


今の、僕のまま……―――




ドジでヘタレで、どうしようもなく子供っぽい僕の、まま?




「…あ、の。ヒロシとの話、聞こえちゃって――。そんで、その………。あたしは、そのままの鳴瀬の方がずっとすき。だから…、絶対。絶対、今の鳴瀬を好きになる素敵な人、いるから――!」


ぐらりと、「変わる」為の気持ちが揺らいだ。


途切れ途切れで、纏まらない内海の言葉に、絆されて。



……でも、僕は……。



「おぉーい、夏軌ぃー!!」


校庭から僕を呼ぶ友達の声。

ふっ、と揺らいでいた決意がまた固まる。


……そうだよ、ヒロシが言ってくれたんだよ?


イメージチェンジは最大のチャンスだってよく言うし、今度こそあの子に振り向いて欲しいんだ。