「プロデューサーさん、おはようございます。」


「お、おはよう。」


そう返してはいたが、プロデューサーさんの顔には、焦りが見える。


「何かやけに焦ってません?
何かあったんですか?」


僕がそう言うと、抱えていた資料を1部、僕に無言で差し出した。

悠月も横から覗き込む。


その資料は、先日、僕と悠月が訪ねて会社の動向を直接調査した会社からのFAX。
社長宛になっている。


"拝啓 PEGA社 社長様

まだまだ暑い日が続いておりますが、お元気ですか?この度、御社が開発している商品が、弊社が開発している商品と酷似しているため、お知らせさせていただきます。
1カ月後、御社の代表の方2人と、発売権を賭けて対決したいと考えておりますので、把握のほど、よろしくお願いいたします。"


って…

なんだコレ…


現実になっちゃったじゃん。

悠月の伯父さんが言ってたコト…


対決方法…マリオ、ぷよぷよ、太鼓の達人…
の3ゲームの総合得点の高い者が勝者…

簡単じゃん。


僕はそう思った。

だけど…


「和、待って。
それ…第1Rよ。
第2R…1時間のブレイクタイムを使って、即興で作詞、作曲をすること…
って書いてある…」


悠月が読み上げる。

マジかよ…

音楽…ギターとピアノくらいしか弾けないけどな…

作詞作曲は…何回かやったことはあるけど…


「ゲーム開発者はゲームサウンドに携わることもあるから、音楽の才能も必要なんだよ。
代表…いけるな?
三ノ宮、星河原。」


プロデューサーに指名されたのは…

僕と悠月だった。


僕たちで…ホントに大丈夫なの?