〈奈留side〉

今日も頑張った。

先輩にいろいろ迷惑かけたけど。

くじけそうになったら、左腕のブレスレットを眺めるの。

雅志があの日にくれたもの。

リボンと鍵が付いたブレスレット。

これを眺めると、パワーがみなぎってくる。

だけど…1人のときは…
雅志のこと思い出して泣けてくる。

そのたびに、由起子先輩に…

「雅志先輩も、奈留ちゃんの泣き顔は見たくないはずだよ?
クッキーあげるから、機嫌直しなって♪」


子供扱いをされつつも、励まされてきた。

そんな思いも、明日で終わり。

先輩達は、早めに帰った。
院長さんも出張だし、私もシャワーを浴びたり、着替えたり…支度をして帰ろうとすると…
ザーザーと窓に打ち付ける雨の音が…

いつの間に…雨降ってたの?


しかも…

ピカ…

ドーン!!


今…

雷…鳴ったよね…


怖っ!!


私…雷は大のニガテなんだよね…


これじゃ…帰る気しないし…
てか…帰れないし…


どぉしよ…


雅志がいればなぁ…


「大丈夫?
雷くらい…何てことないって♪
電線の下通れば大丈夫だから!!
帰ろ?」


って…言ってくれる…はず…


「……奈留?
こんなところにいた。
家行ってもいないから、どこに行ったのかと思った。…雷なんて怖くないって。電線の下通れば大丈夫だって、いつも言ってるでしょ?
相変わらず可愛いんだから…
猫ちゃんも待ってるし、帰ろ?」


その…聞き慣れた声と同時に、後ろからぎゅっと暖かい温もり。


「雅…志…?」


雅志だ。



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