〈悠月side〉

「すみませんっ…
もう一度…書き直します…」

また、ダメだった。

私は、星河原 悠月。

皆からは、

「ホッシー」とか、「ゆず」とかって呼ばれてる。

割と巷で有名なゲーム会社、「PEGA」で働く社員です。
ゲームのキャラクターデザイン担当。

要は、グラフィックデザイナーだね。


今、私が所属するチームが開発するアドベンチャーゲームのキャラクターデザインを任されて…徹夜続きでやってるんだけど…
ダメなんだよね…

なかなかOKもらえないの。
絵やらイラストやら書くの、昔から好きで、ゲームも好きだったから…この会社入ったんだけど…

こうも上手くいかないなんて…思っていなかったなぁ。

はぁ。

溜め息ばかりが漏れる。

「ってか、今ふと思ったんだけどさ~…
『ホッシー』と『ヨッシー』
って似てない?」

「似…似てるっちゃ似てると思うけど…いきなり何っ!?」

あまりにも唐突に聞いてくれもんだから、思わず笑ってしまった。

「いや?
やっと笑ってくれたなぁ~って。
溜め息ばっかりついてると幸せ逃げるよ?」

そんなセリフをサラリと言えてしまうこの人は、私の同期の…

三ノ宮 和之。

プログラミング担当で、合間にもちょくちょくゲームをやるゲーマーで、マリオなら社長にも負けない。

他も十分、強いんだけどね…

羨ましいな…和之が。

私と同期とは思えないくらい…かなりの量の仕事をこなしてる。

私…与えられた仕事すらも満足にできないのに…