〈悠月side〉

洗面所で顔を洗って、コンシーラーで何とか痕を隠すと、会議室前の廊下でプロデューサーと鉢合わせた。
「あ…悠月…
何か…ごめんね…まさか…"ハミュセコーポレーション"
の人とは聞いてたけど…あの人とは…思わなかったから…」

「いえ…いいんです。」

「さ、仕事に戻りな?
終わったら…食事行こうか。」

「はいっ!!」

プロデューサーさんと食事行けるんだ…

私は満面の笑みで頷いた。

仕事もまあ…キリのいいところまで終わって…

プロデューサーさんと食事に出掛けた。

「どうだ。
…仕事は。」

「まあまあ…です。
一回、今まで俺がボツにしたやつをさ、色を付けてもう一回見せてくれないかな?」

「え…あ…はい…」

「俺がついボツにしちゃうのも、頭の中で具体的なイメージを描けないからっていうのもあるから…だって最近思ってきたから…さ。」

食事を終えて…帰ろうってなったとき…なぜか涙が出てきた。

「悠月…!?
どぉした…?」

「プロデューサー…さんっ…私っ…好きなんですっ…プロデューサーさんのことっ…」

言ってしまった。

どぉしよ…

「ごめんね…悠月…
俺には…支えるべき家庭があるから…
気持ちは嬉しいけど…」

「いえ…」

お金を払おうとしたら、すでにプロデューサーさんが会計した後だったらしく、2人で店を出て、私は会社に戻った。

会社に戻ると、キーボードを手際良く叩いている人影が。

「お、悠月じゃん。」

「和…之?」