〈悠月side〉

仕事帰り、私と和之の家に帰る。

主に使うであろう主人の音色が聞けなくなったからか、もの寂しそうにたたずむグランドピアノ。


大分ホコリがたまっている。

まずいよね…掃除しないと。


ピアノの蓋をそっと開けると、何やら下矢印が書かれた紙が。


ピアノの下ってこと?

和之のピアノの下って、そういえば覗いたこと…なかったな。

覗いてみると、細長い段ボールの中に、1つのギターケース。

そっと開ける。


今度は、楽譜が入っていた。
それは、私と和之が作詞作曲、編曲した曲のギター弾き語りver.の楽譜。
コード表と、運指表もセットになっている。
開いてみると、何かが落ちた。

…手紙?


「世界で一番、大切な悠月へ。

悠月は音楽センスがすごくあるから、きっとギターも弾けるようになると信じてます。
簡単なコードだけを使用したものになっているから、数ヶ月練習すれば弾けるようになるはず!
僕からの宿題です。

悠月、愛してる。


和之」


和之らしい。

和之。
私、貴方にこの曲を披露出来るように、頑張るから。