妃奈。多分僕は君に出会ったその日から君に恋をしていたんじゃないかといまさらながらに思う。
君にもっと早く出会えていれば僕は変われていたのかな?君に笑顔を与える事が出来たのかな?
今ある思い出だけじゃ満足なんかできないよ。
君との想い出はかけがえのない宝物。君が愛した空からの贈り物。


僕はサッカーをしている時が一番幸せだ。それは嫌な事を考えなくていいからだ。
しかし最近は少し違う。
彼女のことを見ることができ、彼女の事を考えている事が許されるからだ。
「淳ちゃん?ボールとは結婚できないけど、窓際の彼女とは結婚できるよ(笑)」
入来がそう楽しそうに言ってくる。
「ああ」
なんていっているのか頭に入ってこないからとりあえず答える。
「ボールは友達!!」
たけしがからかうかのように俺になんか言ってくる。
「ああ」
頭の中は彼女の事で一杯だ。
そういえば名前を聞いていない。俺は練習後にでも彼女のところに聞きに行こうと考えた。

練習はいつも通り大きな声を出し、くたくたになるまで頑張った。
いつもならこれで一日分の元気を使い果たしているのだが最近はこれだけでへばっていられない。

「ていうか君どこ見てんの?」
今日は二回目の対面。彼女は笑顔でこう答えてくれた。
「さっきまでは誰かさんの声がうるさくてサッカーのほうばっかりみてました(笑)今からは空を見ようと思ってます。」
え?サッカー?どういうことだ?テレビでサッカーはやってない。てかテレビでやってたら俺は絶対にビデオに録画しているからやってるはずがない。
。。。「君名前は?」
僕になんか教えてくれるのだろうか?いままで人を信じてくる事がばからしいと思っていた偽善者である僕に名前なんて教えてくれるのだろうか。
不安で胸が張り裂けそうだ。

「妃奈。私妃奈っていうの」
彼女は僕のそんな不安をすぐに消し去ってくれた。
そこからは僕の質問攻め(笑)
「趣味は?」
「好きな歌手は?」
「好きな食べ物は」


。。。「好きな男性のタイプは?」