「てか試合を見ているときに妃奈ちゃんが俺らの知り合いっていうことが後輩たちにばれなかったらいいわけだ。どうせあいつらは妃奈ちゃんの顔をちゃんと見ていたわけじゃないから俺らが話し掛けたり、知り合いってことを隠し通す事ができれば何も問題はないわけだろ?俺の車で試合に行くから途中どっかで妃奈ちゃんを拾っていけばバレないだろ?」
たけしって本当は天才なのかもしれない。
「でも集合場所に着いたときにばれたりしないか?」
俺は究極のヘタレなのかもしれない。
「そんなの直接試合会場に行くって伝えとけば問題ないだろ?つまり妃奈ちゃんが俺の車から降りるところだけ見つからなければ一切問題ないわけだ。」
たけしはもしかして今まで頭がいいのを隠していたんではないか?
そう錯覚してしまうくらいに今日はかっこいい。
「ありがとうたけし。お前のおかげでなんとかなりそうだよ!!」
俺はたけしに感謝の言葉を言い、何度も頭を下げた。
すると
「で、お前なんか他にも俺に言う事あるだろ?ていうか相談ごとが。」
たけしは俺が相談したかったことの終わりを見計らってか、再度真顔で俺にこう尋ねた。
「いや、もうねえよ。なんだよ急に。」
俺はたけしから目をそむけ言葉をはぐらかす。
本当はまだ聞いてほしいことがあった。
しかしそのことはなかなか言える気持ちにはなれず、おれはしばらく考えたように無言になった