彼女の首に巻き付けてある包帯を目にした瞬間、何故か思考が完全に停止してしまって、どうしたらいいのか分からなくなってしまった。
異変に気付いたのか、彼女は俺の膝をポンポンと叩いて、首を傾げながら俺の様子を伺ってきた。
「ああ…ごめん、ちゃんと教えっから」
彼女のおかげで、正気を戻した俺は、とっさに生返事を返した。
『彼女が一言も喋らないのは、もしかしたらそのせいなのかもしれない』
瞬間的に、そう思った。
もしそうだとしたら、何だか辻褄が合うような気がしたし、自分でも納得がいった。
だが、彼女のことを詮索して干渉するのは無礼な上、気にしてしまうといけないので、俺は何事もなかったかのように振る舞い、紙ヒコーキ作りを始めようとした。
………あれ?
そういえば、紙ヒコーキって今までどうやって作ってたっけ?
気持ちが焦っているのか、彼女からスケッチブックを受け取った瞬間、頭が真っ白になって、どうしても作り方が思い出せなくなってしまった。
取り敢えず紙を切り取り、勘だけを頼りに黙々と折り進めていった。