さっきから切り取った紙を何度も折っては広げてはいるものの、作業は一向に終わる気配はなかった。
特に何もすることがなかった俺は、隣でひたすら作業に没頭している彼女に見入っていた。
そこで見ていて分かったことと言えば。
彼女は手先がかなり不器用であるということと、彼女が作っているものが『紙ヒコーキ』だということだけだった。
やっとのことで、彼女が紙ヒコーキを作り終えたものの、画用紙なのに紙はもうボロボロで、いかにも貧弱で、全然飛びそうな気がしなかった。
そんな紙ヒコーキを前に、悪戦苦闘しながらもやっとこさできたことによる満足感からなのか、今まで謙虚な態度を取り続けていた彼女は、満面の笑みを浮かべながら、そのボロボロの紙ヒコーキに見入っていた。
その光景を見て、思わず強ばっていた顔の筋肉が緩んだ瞬間、俺はつい笑いだしてしまった。
彼女は突然笑いだした俺のことを、目を丸くして、きょとんとした様子で見ていた。
「わ…悪い、つい…」
言葉で謝ってはいるものの、全く悪怯れた様子を見せない俺を見て、彼女はまた顔を赤らめながら、俺の肩を思いっきり叩いた。