私の家族は、全員病に罹っていた。


だけど末期が過ぎると、
どうも健常に見える患者もいるらしい。

両親が、そうだった。


その見た目に騙された旅人は、
宿屋をしていた家へと招かれてきた。


そうして彼は、バラバラに。


残されるであろう、
まだ症状の軽い私の為に、
両親はお金を残すつもりだったから。

当時の街では、大した役に立たないけれど。


沢山の肉片を、街の人に売って歩いた。


そして一番効くと言われていた、
残しておいた心臓を、私に。



……驚く事に、
両親を始めとした旅人を食べた人々は
本当に病が治ってしまった。

もちろん、私も。


だけどしばらく経つと、
再び病は広まり始めた。