「じゃあ、人間狩りしてるの?」

「ああ、でもこの辺の人間は、
 もう皆居なくなってしまったんだ」

引っ越すか、食べられるかして、と。

シャベルを振り回していた男は人間で、
愛する妻のために、獲物を探していたらしい。

ゾンビは同種を食べないけれど、
人間には違いが解らないから、
彼を襲ったのも、しょうがないだろう。


「でも少し遠くへ行けば、
 いくらでも人間は居るだろう?」

突然口を挟んだ俺に、男は驚いた。

「……回復が早いんだな」

「俺はゾンビじゃなくて、不死身の人間なんだ」

……多分、人間だろう。
それが俺の知っている中で自分に一番近い

ゾンビよりも回復が早いので、
もうすっかり声帯も元通りだ。


「……不死身?」

男は復唱して、
それから言った。


「それなら、頼みがある」