これは、俺と彼が旅に出る前の話だ。



俺は、20代になったばかりの頃、
不死身の人間によって、仲間にされた。

それから10年ほどはその町に居たけれど
流石に怪しまれそうになったので、
そこを出て、色々な土地を転々とした。

そしてかなりの時間が経った頃、
再び、生まれ育った町へと戻ってみた。


あの町は、余所者に厳しい。

だけど、昔ここに住んでいた者の
子孫だと言うと、快く受け入れてくれた。
……単純な町だ。


そうして、見た目なら同年代の、
彼と出会ったのはその頃だ。



今まで何人も恋人は居た。
だけれどいつも、俺は置いてきぼりだ。

そりゃ、死なないんだから、
人間相手じゃ当たり前だけど。

だから今回も、
またあの痛みを味わうんだろうなと。

そう、思っていたのに。