「お待たせいたしました」
お母さんの淹れたコーヒーを
上北さんのテーブルまで運んでいく。
「ありがとう」
一々お礼もいってくれるし、
お客さんとしてはいい人なんですが……
「あ、今日は前髪分けてるんだ」
「はい、伸びてきちゃったので」
細かい所にも気が付いて、
よく私に話しかけてきます。
「似合ってるよ」
顔が良いから、そんな事を言われると
私の顔が熱くなって困ります。
「……ごちそうさまです」
「あはは、お世辞じゃないよ」
余計、困ります!
毎日、こんな感じで
私を褒めたりしてきます。
本当に、何がしたいのでしょうか。
割引なんて、出来ませんよ!