「気持ち伝えたからにはもう我慢しねぇ。本気で蒼空が欲しいんだ」



遥登は真っ直ぐな眼差しで俺たちを見る。嘘のない、その瞳で。





「……だからといって、蒼空を譲る気は更更ないぜ」


「あぁ、そうだな」




蒼空の気持ちはまだ誰も手にしてないんだ。まだまだ、これからだ。


「分かってるよ。だけどもし、蒼空が俺を選んでくれたら……ちゃんと諦めてよね?」




ふふ、と余裕のある笑みで俺たちを一瞥してから、遥登はその場に寝転んだ。


俺も疲れをとろうと体勢を崩す。








瞬間―――



「あの…みなさん、」

玄関から聞こえる蒼空の声。




全員がピシリと背筋を伸ばし、固まった。


「入ってもいいですか?」


「あ、あぁ…」




どぎまぎしながら返事をすると、恐る恐る蒼空が顔を出した。