…―――。




「…ん、」


眩しい光に目が眩んで、眉に皺を寄せる。と、同時に意識もはっきりとしてきた。




「悪い、起こしちまったか?」


頭上から聞こえる八木原君の声。




そういえばあたし、携帯を取りに行って…雨が降ってきて……。



「っ、八木原君…!?」


お姫様抱っこされているのに気付いて顔を上げる。途端、ぐにゃと視界が歪んだ。




「熱あんだから大人しくしとけ。…説教はそれからだ」


回る視界に八木原君の柔らかい笑顔が映って、あたしは身を委ねる事にした。





ぎゅっと携帯を握って、目を閉じる。



「……ごめんなさい」




声が震えてしまったのは、熱のせいなのか、緊張しているせいなのか。




八木原君が何か言っている気がしたけど、その声が耳に入ることなくあたしは意識を手放した。