「そろそろホテル帰るけど…蒼空、思い残す事はない?」


あたしの心中を察したように、遥登君が尋ねる。




「え、あ、はい…大丈夫ですっ!」




―――縁結びの社。




本当は行きたい気持ちもあったけど、あたしの我が儘にみんなを巻き込むわけにはいかないし。






「あ、」



帰路へと足を向けた時、あたしは思い出す。


さっき寄ったうどん屋さんに携帯置をいてきてしまった。なんという浮かれっぷり。




「どうした、蒼空?」





「えと、みなさん先に戻っていて下さいっ」




それほど遠くなかったはずだから、走れば時間に間に合う。一人でさっさと取ってこよう。


…と思って言ったのに。





「は!?なに、何で?どうしたの?」


じりじりと迫るみんな。怖い!怖いです!!




「いえ、ほんと大丈夫ですから!」



そう言ってもみんなは身体を引いてくれない。むしろグングンあたしに近付いてくる。





「用があんなら俺らも付き合う」