怖くなって翼の後ろに隠れる。



「あんたたち欲望剥き出しじゃない。牙をしまえ、牙を」



翼の言葉にみんながたじろぐ中、一人だけがグイと前に出た。




「安心しろ、浅村。俺はいつもと何ら変わりないから」



あたしに手を差し伸べてくる櫻田君。その柔らかい笑顔に心底安堵する。




「櫻田君…、っ!?」



その手を掴むと同時に腕を引かれ、胸元に飛び込んでしまう。



痛いぐらいに強く抱き締められ、熱がぐんと上がる。ななな、なにこの状況…!



「てめ…っ湊!抜け駆けしてんじゃねぇぞ!」




「知るか、んなもん」



ぎゃーぎゃーと騒いでるうちに、ひょいっと櫻田君から離れる。






「み、みなさん!早く行きましょうよっ!ね?」



こんなところで喧嘩してる場合じゃない、時間は刻一刻と過ぎてるんだから。





何て顔を真っ赤にしたあたしが言っても説得力ない…?



「いい度胸じゃねぇか湊、覚悟できてんだろうな」



って、ちょっとー!!