「朝陽が私に靡いてない事くらい分かってる!…でも、仕方ないじゃない……好きなんだから…!!」



あたしの肩を掴む翼ちゃんの手を、強く握る。動きが止まった瞬間を見計らって彼女を抱き締めた。





「―――翼」





あたしは、ズルい人間だと思う。黙っていれば翼が傷付く事はなかったのに。




…でも。


「翼…ごめんなさい。あたし、翼とは友達だと思ってるから…隠し事したくありませんでした」




抱き締める腕に力を込める。あたしの想いが届くように。



「私、蒼空の事…大好きよ」





はぁ、と息を吐いてあたしの胸に項垂れた翼。表情は見れない。


「話してくれてありがとう…もう大丈夫」




落ち着きを取り戻した翼が、あたしからゆっくり離れた。



「翼…」


「悔しいけど、あんたの魅力は半端じゃないもんね」