「い、いいですって!」


八木原君の両手を掴んで押し戻そうと試みる。無理だって分かっていても、せずにはいられない。




「見てるこっちが暑いんだよ」


そんな事言われましても…この下は水着なわけで。しかも翼ちゃんが選んだ派手派手な。



いずれ脱がなきゃいけないのは分かってるけどまさかこのタイミングとは思ってなかったし…。



そんな事を考えても、八木原君の力は緩まない。多分、どんなに抵抗しても敵わない。






「…っ」


あたしは固く目を瞑り、八木原君の両手首を掴んでいた手をだらりとおろす。



八木原君の目の前で、自分で脱ぐよりはマシだし…。覚悟、決めるしかないみたい。





「そうそう、素直になんなきゃな」


楽しそうに笑っている八木原君を思い浮かべ、あたしはただその瞬間を待った。