「みなさん、着きましたよ」
バスの前方から松神先生が声を掛ける。いつの間にか外の風景が、住宅地から鬱蒼とした森林に変わっていた。
何かどんよりしてますが大丈夫ですか、てゆうかここどこですか。
「はい、じゃあ降りて下さい。バスの中に忘れ物しないように」
バスを降りると、木々の間から太陽が容赦なく照りつける。後でもう一回、日焼け止め塗っておこう。
「この林を抜けたら海は目の前です。さぁ歩きますよ」
あたしたちが歩き始めると、バスもその後ろをのろのろついてくる。
何でここで降ろしたんですか…。どうせバスもついてくるなら海の前で降ろしてくれれば良いじゃないですか。
なんて文句が先生に届くはずもなく、あたしたちはだらだらと歩き続けた。