「っ…ん、ぅ」

訳の分からないまま唇を塞がれ、抵抗する暇もなく口を開かされた。



入ってきたのは舌だけではなく。


「…、っ」


―――水だった。




溢れ出るそれをこぼしながらも、あたしは懸命に喉を動かした。

ごくごくと、彼の口内から運ばれるぬるくなった水を飲んでいく。




「ぷ、はっ…」


心臓は慌ただしく音を立てているものの、息は出来る。霞んでいた目の前も鮮明に戻った。




「大丈夫?」


彼は手でグイと口を拭いながら、あたしに優しく声を掛けてくれる。



肩で息をしつつ、やっとあたしは落ち着きを取り戻した。







「ありがとうございます…、中村君」