―――グイ


八木原君が至って自然に、あたしの肩を掴んでそのまま引き寄せた。



「あ、あのっ…」

「眠いんだろ?着いたら起こしてやるから、ちょっと寝てろ」


八木原君の吐息があたしの鼻に掛かる度、胸が高鳴る。


なに、なに、なにこの状況!




「えーずるいー」

後ろから中村君の拗ねたような声がする。


八木原君の腕があたしの後ろ首を押さえているから振り返れないけど。



てか、この体勢やばいんですこど。ドキドキして眠れるわけないんですけど。




「遥登うるさい、蒼空が寝れないだろーが」


いえ、どちみち寝れないので大丈夫です。