~ふーにゃんside~



楠木と別れて、ケータイを手にとる。


ピッ

メモリ:小野田 結香


数回のコール音が聞こえて、繋がる。



『もしもし船橋クン!?』



午前の3時を過ぎたところとは思えない声量で、ユカが出る。



「わりいな、寝てるとこ」



『‥‥久しぶりじゃねぇ、こんな時間にどうしたん?』


寝起きながらも様子を伺う感じの、ユカ。

まると別れてから、当然姉のユカとも連絡をとったことはなかった。


「なぁ、まるの病気って‥‥何なの?」



『何なの?って…まなは言わなかった?』



一瞬、ユカの声が鋭くなった気がした。



『――まなが言わないなら、あたしも言えないよ』



「…そっか、分かった。じゃあ切るわ、ありがとう」



『船橋クン、あの子、よろしくね』



「…もう俺のもんじゃないぞ」



『そう?まなはずっとキミのだよ』



楠木がいるだろ、といいかけたが電話はそれで切られてしまった。