「はいはい。
口の横に食べかす付けてる奴に言われても説得力ないっつの。」
ひとつ分の重みのある紙袋を受け取り、
小さい子を宥めるように言った。
「!?……」
女は即座に腕で口を隠して後ろを向いたと思ったら、
またすぐに前向きに戻り、
「……ご指摘アリガトウゴザイマス。」
と目線を下に向けながら
頬を赤く染め悔しそうに言った。
なぜだかカタコトな口調だけど。
「いーえ。」
俺は軽い返事を返し、
バイクに跨がりメロンパンを口にする。
女も気をとり直したかのように、俺の横でメロンパンを頬張り始めた。
.