「おう。そいじゃあ行くか。
バイクで送るから
一回俺ん家帰るぞ。」
女に背を向け歩きだそうとする。
「はい。」
「あ。あと言い忘れてたこと。」
ふと思い出し、
足を踏み出すのをやめ
女の方へ振り返った。
「?なんですか?」
「それ。敬語じゃなくていいから。」
さっきから気になっていた。
なんでコイツ敬語なんだよ。
俺、敬語使われるほど偉いやつじゃねーし。
「え。でも初対面ですし。」
当たり前のように
女は言った。
……それもそうなんだけど。
「初対面でも俺、アンタに全く敬語使ってないし…さ……」
そう言葉を発しながら、自分の言ったことを考えてみた。
……あれ?
ってことは俺、もしかしてけっこう失礼なやつだよな……
今さら気づき、内心苦笑い中。
「あー。そういえばそうですね。
なんて失礼な人なんでしょーねぇ。」
はぁ〜とわざとらしく
ため息をつく女。
……くそう。
正論すぎて何も言い返せねぇ。
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