「…コウ、ちゃん…」
誰かの名前を呟いた。
だがすぐにハッとし、
「させないって…カッコつけすぎですよ……。」
俺から顔をそむけて
そう言った。
肩と声が震えている気がした。
別にカッコつけたわけじゃない。
ただそう思ったから
言ったんだ。
なんの反応もない女を
とりあえず見下ろして待ってみた。
…すると女はパンッ!と
両手で自分の頬を叩いた。
うおうっ…!
なんだいきなり?
突然の行動に
俺はびくっとしてしまう。
女は決心したようで
立ち上がり、
俺の方に向き
ふぅ。とひとつ深呼吸して
「じゃあ…お言葉に甘えて、
よろしくお願いします…。」
と、深々と頭を下げた。
.