どちらともなく笑い終えると
俺達はまた海を見つめる。
ヒュー……
海の匂いが混じった冷たい風が俺達を通り抜けていく。
冬のこの時間に此処にくるの久しぶりだからなぁ。
やっぱさみいな……。
ぶるっと身震いし、
ひとつ息を吐く。
白い息がより強く
冬の寒さを感じさせた。
「あの……寒いのでもうお帰りになられては?
心配しなくても、海に入ろうとしませんから。」
「言ったろ?
俺はホントは海を見に来たって。
それにこんな夜中
女ひとりじゃ危ないだろ。」
「……紳士的なんですね。」
「ま。アンタみたいな変な女誰も襲わないだろうけど。」
「訂正します。
非紳士的ですね。」
笑ってはいるが、
頬がピクピクと動いている。
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