「ここにいたのか」

「!」


バッと顔を上げると


「た…橘!」


走って来たのか、肩で呼吸をしている橘が立っていた。






「何で先に行くんだよ!俺、待てって言ったよな!?」


「は!?」


何で、私が怒鳴られなきゃいけないの!?


「せっかく待っててやったのに、先に帰っちゃ意味ねぇだろうが!!」



待っててやった!?


「はぁ!?あんたが、毎日犬みたいに校門で待ってるだけじゃない!」


「い…犬!?」


「そうよ!犬のくせに、態度は偉そうだけど!?」

「あぁ!?」



「しかも、あちらこちらにマーキングしてるとこだけ犬らしいじゃない!!」


「マーキング!?」


「そうよ!」





と言った後、橘からの返答が返って来なかった。
そして怒鳴り合っていた声が、やんだ。