「いってえな、順!」

「わざとじゃないよー、それより何の話?」

「…別に、何でもねえよ」


そう言うと藤村は、教室を出ていった。

藤村は俺の事が嫌いらしく、
あからさまにみんなと接するときと
俺と接するときとは態度が違う

その事を佐藤は知っている。
佐藤と藤村は親友らしいから。

でも、藤村がどんなに俺の悪口を
言おうと、佐藤はまったく揺らがず、
こんな俺と仲良くしてくれている。


「なあ、佐藤さん」

「ん?どったの、田中さん」

「…何で俺なんかと連んでくれてるん?」

「…は?」

「だって、藤村は俺の事嫌いやし。でもそんな藤村とお前は親友やろ?だから、俺がいるとあんま二人で仲良く出来ないんじゃねえかなと思って」

「………。」

「邪魔じゃないん?俺」


正直ずっと気になっていた事だった。
佐藤と藤村は保育園からの仲だし
二人で話したい事だってあるだろうに、
俺のせいで二人が話さないのは
何となく嫌な感じがしたから。