「俺さ、昔アルプスの歌詞のさ<こやりの上で>をさ、<コヤギの上で>かと思ってた」

「どうしてん、急に」


何気ない日常での会話、この会話が
好きでたまらない。

誰かと話す事で、自分は
此処にいるのだと思える。


「いやー、急に思い出してさーあ、お前も間違えなかった」

「間違えへんわ、アホ。」

「そん、ひでぇよ凌…凌はいつも手厳しいのなー!」

「んー…そうか?これでも優しーくしてるつもりやねんけど?」

「あ、いや、優しいのは分かってるけどさw」


チャイムが鳴った。
ー…5時限目のチャイムだ。


「あっかん、始まった」

「いんでね?」

「あ?」

「たまにはサボろうぜー」

「ホンマ東京の奴はマイペースやなぁー、授業出るで、オラ、立て」

「えー、めんどーい、どいつー」

「くだらん事言わないで戻るで」


俺に激しくブーイングする佐藤を
引きずりながら、俺は教室に戻った。