合図されたから教室に入る。


そのとたんにまた、静かになった。




「じゃ、自己紹介して」


「綾瀬 シュン」

「綾瀬 ナツ」


言われるままに自己紹介した。



「じゃ、窓側の席のうしろな。
はい、自習でもしてろ」



笹川はそういうと教室から出ていった。



「ねぇ、シュン君は彼女いるのぉ〜?」

笹川が出て行ったとたんにドッと人が集まってきた。


女が甘ったるい、妙に高い声でシュン兄に聞いている。


「あー、俺オマエらみたいな女には興味ないんだよー。悪いけど俺から消えてくれる?」


シュン兄は笑いながら言う。

それを聞いたシュン兄の周りにいた女は一気にいなくなった。

泣きながら教室に出て行った者もいれば自分の席に着いた者もいた。




「ナツていうんて?可愛い名前やなぁー。俺、金井 慧ていうんや。よろしゅーな、ナッちゃん」

「…………………………」

あたしは無視した。

コイツ、目の前の席だが。


「……なんやー?無視なん?俺、かなしー、シクシク」


泣き真似をしはじめた。



「ナツー、ちょっと探検してみねぇか?」


シュン兄は子どもみたいに言った。


「……あぁ…」


あたしらは大阪弁でしゃべった金髪の男を無視して、教室をでた。

「あっ!?ちょっ、待ちぃっ!!」

後ろから金髪の声が聞こえたがあたしはほっといた。












金髪の目を見てから、すぐに思った。





あいつらと関わるべきじゃない。


そう思った。