「あたし、なんかびっくりしちゃった」
「何が?」
「そこまで人のために必死になれるって、
本当、すごいと思う」
「別にたいしたことしてねーけどな」
「でも、あたしにはよく分かんない。
こんな危ない目に合ってまで、人を助ける意味ってあるのかな?万引きの罪着せられたり、事件に巻き込まれて処分受けたり、さっきだって、一歩間違えたら……」
あたしはさっきのことを思い出してぞっとした。
「だから俺のことはどうだっていいんだって」
「よくない!」
あたしは思わず声を張り上げて、
陽介の方を向いて体を乗り出した。
「陽介が人のためにここまでするのって、何か理由があるんじゃないの?」
「……は?」
「何か理由があるんだよね?」
「……」
陽介から笑顔が消えた。
表情には、動揺の色がみえる。