心臓がとまるかと思った。

電車の端まで視界から消えた時、陽介と子供の姿が見えた。


鐘が鳴り止み、

黄色と黒の閉鎖バーがゆっくりと開き、天にその先を向けた。


「ありがとうございました…っ!本当に、本当に……っ!」


ざわざわと辺りに人が集まり出した。

母親は走って子供を抱きしめ、陽介に泣きながら頭を下げた。


母親を見てると、まるで陽介は神様みたいだった。


「よかったな、今度から気をつけろよ」


陽介は母親に何か言う変わりに、子供の頭を撫でた。

子供はきょとんと陽介を見ていたが、その内泣き出した。


そんな中、あたしは足が震えて、

なかなか歩くことができなかった。



なんとか陽介の所に辿り着くと、陽介はやっぱり笑っていた。